「クーガ芋3Gプロジェクト」の「3G」は「3人のオジー」。松田栄さん・高良和夫さん・松田稔さんである。
今年2月下旬に入り、沖縄・読谷村にある畑の中で、初めて出来た「クーガ芋」を見て、3Gは笑みを浮かべた。
昨年4月から5月にかけて植え付けた「クーガ芋」を、葉の色が黄色くなっているものから、一つひとつ丁寧に掘り起こしていく。
クーガ芋畑は、沖縄本島中部の読谷村(よみたんそん)にある。この村は、総面積約35平方キロ・人口約4万人と日本一人口の多い村として有名だ。那覇から車で約1時間、観光地としても行きやすい。
クーガ芋は、沖縄の中でも希少な「島尻マージ」と呼ばれる特徴的な土壌(石灰岩+赤土)で栽培されている。しかし、この土は、もともとは栄養分の少ないやせた土壌で、出来上がった作物の味は良いが、収穫量が少ない。そこで、3Gでは栄養分の多い牛糞を入れている。知り合いの畜産農家から頂いたものだ。
クーガ芋(和名:トゲドコロ、はり芋)は、沖縄のごく一部の地域で、2000年も前から自生している自然薯の一種。とても粘りが強く、甘みやコクがあるという特徴を持っている。
「クーガ」とは、沖縄の方言で「鶏卵」を意味し、形や大きさが似ているのでそう呼ばれている。
しかし、「クーガ芋」は蔓(つる)のトゲや細かい根がびっしりとあるため、手入れや掘り出したあとの土落としも大変だ。また表皮に傷がつくと1~2日で傷み始めてしまうなど、慎重で丁寧な作業を要し、栽培、収穫が難しい品種。さらに、気温にとても敏感で、沖縄本島が露地栽培可能地域の北限となっている。
植付時期は4月から5月頃で、収穫時期は1月から3月頃。一年に一度しか収穫できないことから、希少価値が高い。
山芋の最大の特徴である「とろろ」の粘りのもとは「ムチン」と言われる。
ムチンは、胃壁の粘膜を保護し、アルコールから守ってくれるほか、血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの分泌を抑えてくれる上に、タンパク質を効率よく消化・吸収させる働きがある。
クーガ芋は、「ジオスゲニン配糖体」を、他の山芋に比べて、約200倍含んでいる。日本で栽培されている約80種類の山芋の中で最も含有量が高い。このジオスゲニン配糖体には、アルツハイマーの予防改善効果があるとして、2012年には富山大学の研究グループが英国のオンライン科学誌「サイエンテック・リポーツ」誌に発表し、2015年にはタカラバイオの研究所が「第15回日本加齢医学総会」で発表している。
クーガ芋の異名は「畑のウナギ」。漢方では「山薬(さんやく)」と呼び、肺や腎臓などの働きを補い、糖尿病や高血圧の予防、便秘の解消といった効果もあることから、そう呼ばれている。
「初めてクーガ芋を見たのは7、8年前だったんだよ」と、松田稔さん。
7、8年前に農業の仲間から「面白い芋を見つけたんだよ」ともらった山芋。これが、「クーガ芋」だった。
稔さんは、この「クーガ芋」を持って帰り、妻と一緒に食べた。すると、妻が「おいしい! おいしい!」と数日間で、食べ切ってしまった。
平成28年、「沖縄県今帰仁村の古宇利島でクーガ芋が栽培されているらしい」という話を聞いた3Gは、さっそく島へ行き、島の販売所で種芋(約1800個)を購入し、栽培し始めた。
3Gが育てる「クーガ芋」は、無農薬・無除草剤・有機肥料によるオーガニック栽培。
「今回、無事に栽培することができたのも"仲間"がいたからこそできた。1+1+1=3以上になるんだよ。この我々の取り組みがお年寄りの認知症予防に少しでも役に立てばという思いで、毎日、畑に向かっている」
読谷村のクーガ芋畑では、昨年定植した苗が2月下旬から徐々に収穫できるように生長しており、4月上旬まで取り入れを行う。
あっさりしてアクのない味と素晴らしい食感は、健康食品としてはもちろん、さまざまな料理に活かせる安心安全で優れた食材だ。
今日も、3Gは汗水を流しながら、畑で「地域のこと」を思いながら、クーガ芋の収穫へ向かう。
ほかの自然薯と比べて、アクが少なくあっさりしていて、粘りが強いクーガ芋は、少量でもオールマイティーにいろんな料理にあいます。
そのままを生かして「バター焼き」「揚げ焼き」「磯辺揚げ」。肉味噌や焼き肉を乗せても、とても美味しく頂けます。
また、おろしても定番の「とろろ汁」から「ピッツァ」「おやき」「春巻き」まで。
特にお薦めは、長芋の代わりにクーガ芋をつなぎにつかう「お好み焼き」です。おろしてすり鉢で擂ればするほどまっしろふわふわになります。これを生地と混ぜて焼くと、驚くほど食感の良いお好み焼きになって、ちょっと感動的です。小麦粉を使わない「クーガ芋お好み焼き」も美味しく仕上がりますよ。
その他いろいろ、クーガ芋を使った美味しお料理のレシピは、こちらのリンク(取材記者和崎宏のひょこむブログページ)にあります!ぜひぜひ、クーガ芋で作ってみてくださいね。
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